集客(1)
先日、営業基本テキスト(無料配布)をUPしました。ご覧になっていただけたでしょうか?営業を考える上での基本部分とは言え、少しでもホール営業のお役に立てればと思い、出来るだけわかりやすく書いたつもりです。
今後このコラムでお話しする内容で、このテキストの内容と重なる場合は、一部説明を省略する場合がありますから、他の見解と混同されないようにお願いします。(まだご覧になっていない方は、こちらのページへGO!)
さて、今回は「集客」についてお話します。
店舗運営には、消極的な集客と積極的な集客があります。(いや、調べていないので何とも言えませんが、私が勝手にそう定義付けしているだけかもしれません。)
店舗運営とは本来、お店がそこに存在し、店が営業している時点で既に集客が行なわれています。ニーズのある商品を扱い、どの様な店がそこにあるのかを認知してもらい、さらに入店しやすいような環境を作ることで、自然とお客様は来店します。より効果的にお客様に来店してもらうには、優れた店舗設計が必要ですし、また常日頃の清掃や接客対応なども重要になります。
そしてこの様な活動を、消極的な集客と呼びます。
ところが、経済が成熟化し競争も激しくなってくると、単に消極的な集客だけでは、経営を持続するのが難しくなってきます。そのため、お店側が何らかの形でお客様に対して直接アプローチを仕掛ける場合が多くなってきます。例えばイベントや割引セールなどを行なったり、広告宣伝活動を行なうなどの行為です。
この様に、店側がお客様に対して積極的なアプローチを行なうことで、お客様に来店動機を与えて来店に結びつけるような活動を、積極的な集客と呼びます。単に「集客」と言う場合は通常こちらの集客を指します。(もちろん、私の場合は・・・ということです)
これからお話する内容も、この積極的な集客についてのお話になります。
集客とは読んで字のごとく「お客様を自分のお店に集めること」ですね。一般的に誰もが使っている言葉ですので、この解釈について誰も異論はないと思います。
けれども、そのせいで多くの人がこの集客について何も考えていないのが、一番の問題なのかもしれません。
私のテキストをご覧になった方は、何が問題なのかもう気がついてますよね?単に集客が「お客様を集めること」として考えが終わっていると、効率的に営業が出来ません。実際のホール営業において問題なのは、集客によって
「どのお客様を集めるのか?」
ということです。多くのホール営業では、この視点が抜けています。
何の魚を釣るのかも決めずに適当に釣り針を垂らしている程、効率の悪いことはありません。コイを釣るならコイのいる場所でコイにあわせた仕掛けを、タイを釣るならタイのいる場所でタイを釣るための仕掛けが必要なのです。
これと同様に、お客様も「お客様」としてひと括りにするのではなく、お客様をきちんと区別して、それに合わせた集客を行なう必要があります。
簡単に大別してしまえば、集客とは
見込み客を集める
利用客を集める
固定客を集める
ということになります。
このうち固定客は、店側の集客アプローチに関係なく来店するので、現状の来店動機を崩さない限り、集客は消極的な集客だけで完了していると考えて大丈夫です。
となると、あなたのお店が集客を考える場合は、「見込み客」を対象にするのか、「利用客」を対象にするのか、という2種類の認識を最低限持つ必要があることになりますね。
ところがここで注意しなければならないことがあります。以前お話した「目的来店」と「衝動来店」です。(忘れてしまった人はコラム018「ポケットティッシュ」をご覧ください。)
積極的な集客活動とは、そもそもお客様に何らかの来店動機を与えて目的来店をしてもらうことです。それに対し、衝動来店の促す活動は、何らかの理由で近隣にいる人たちに対して、自店舗を認識・再認識させ誘導することですから、目的も方法も見込み客・利用客関係なく行なわれます。
以上を踏まえてまとめると、集客を考える場合は
(1)見込み客を集める
(2)利用客を集める
(3)衝動来店を誘発する
の3点に区別して考えることが必要になります。この3点をきちんと区別して、それぞれに見合った集客の仕方を考えることが、効率の良い営業を生み出す結果となるのです。
ところが、この集客をきちんと区別して行なうということは、単に「集客の仕方」が適切になるだけではありません。実は、「集客の目的」がきちんと定められるようになるのです。
さて、お店が集客をする目的とは何でしょう?
集客そのもに関しては、単に顧客をお店に集めただけに過ぎません。それ以上でもそれ以下でもなく、集客そのものはお店に何らメリットを与えません。
では、なぜ集客が行なわれるのかと言えば、それには目的があるからです。何らかの理由があって、お店は集客という活動を行なっているのです。
ところが多くのパチンコ店では、その目的がほとんど理解されないまま集客が行なわれています。
「え?嘘だろ?」
と思ってしまいそうですが、実際のところそれが現状です。
恐らくほとんどのパチンコ店の方が、集客の目的が売上げを上げるためだと理解していると思います。
しかしながら、集客とは売上げを上げることが目的で行なわれるものではありません。それどころか、集客して売上げをあげることを考えてしまうと、収益悪化の道をたどることにもなりかねないのです。
さて、どうしてでしょうか?
うーん、この集客については、テキストにも間接的にしか触れていなかったので、疑問に思ってしまう人もいるかもしれませんね。その理由をお話しすると、長くなりそうなので、次回のコラムでお話します。
2004年7月9日