コラム:パチンコ店経営を考えるポイント

外的要因(1)

皆さんも既にご存知の通り、5月18日、ゲーム業界大手のセガと遊技機メーカ大手のサミーの経営統合が発表されました。さらにサミーは7月2日、総合エンターテイメント施設「サミー戎プラザ」を大阪の道頓堀にグランドオープンさせるなど、精力的な活動が目立っているように思えます。

皆さんは、このニュースを聞いて何を思いましたか?「へー、サミーさんは頑張ってるんだなあ。」などと、呑気な話はしていられませんよね。

パチンコ市場は既に成熟期に入っています。そしてスロット市場も、まもなく成熟期に入ります。まあ、許認可の枠組みの中にある業界なので、行政の意向に大きく左右される部分はありますが、パチンコ・スロット市場の成熟化はほぼ間違いないでしょう。

セガとサミーの経営統合は既に発表されている通り、それを睨んでのものですね。セガとしてはサミーの資金力を、サミーとしてはパチンコ・スロット市場成熟化のためゲーム市場進出を睨んでのことです。

さて、メーカーであるサミーは市場の成熟化に向けて新たな一歩を踏み出しました。では、あなたのホールでは何をしていますか?

前回のコラムで私は、市場が停滞期に入っているのだから、従来の様な集客を行っていては、どんどんと集客できなくなるというお話をしました。つまりパチンコ店は、従来の営業のあり方を根本的に考え直していかなければならない時代にあるということです。

ところがこれに反して、古い体質のまま営業が維持できている店舗はいくつもあります。

なぜ古い体質のまま営業が維持できているかと言うと、

「時代が変わっても、そのエリアでは競合店同士による意図せぬ均衡が保たれている」

という現象があるからです。つまり、競合店同士がお互い同じ様な営業を続けているため、お互いの顧客シェアのパーセンテージは変わらぬまま維持し続けているのです。この様な状況下では、市場の推移に合わせてどの店舗もお互いに徐々に衰退していきますが、「変化の必要性」には気がつきません。原因を「景気の悪さ」にしてしまって、それで終わりです。

ここでよく考えていただきたいのですが、この様な状況下での売上げ維持というのは、自店舗の「営業努力」ではありません。単に、競合店同士による意図せぬ均衡が保たれているだけで起こっている現象です。

つまり自分のお店の営業努力という「内的要因」ではなく、企業が置かれた環境という「外的要因」に支えられているのです。

このような状況は、危険と隣り合わせであると言ってよいでしょう。

お店の業績が、自店舗以外の要因によって大きく支えられているということは、つまり自店舗の努力いかんに関わらず、外的要因に大きくその業績を左右されてしまうということです。外的な要因の均衡によってその業績が保たれている企業は、その要因が少しでも崩れた途端に、大きく傾いていきます。

それは新店舗の出現といった大掛かりな変化ではなくとも、充分に起こり得ます。

例えば既存ライバル店の営業方針の変更。既存のライバル店が意図せぬ均衡や破ってしまえば、もちろんその勢力図は大きく変わります。

その時になって慌ててみても、最早手遅れです。新たに方針を転換して営業を始めたライバル店には、従来の営業手法は通用しないのですから。

恐らくこうなると出玉競争がその地域で始まるわけですが、根本的に営業方針を転換せずに行なう出玉競争は、単に収益を圧迫するだけの結果になります。

繰り返し言いますが、パチンコ業界は全体として既に成熟期に突入しています。市場が拡大しない成熟期において企業の存続を願うのであれば、それは他社の顧客シェアを奪うことでしか成り立ちません。

奪わなければ奪われてしまうのです。

これが本格的な「競争社会」ということです。この事を肝に銘じて、今後自分達のホール営業を考えていかなければならないのです。

ところが・・・・・

新店舗の出現や既存ライバル店の営業方針の転換は、比較的わかりやすい事象のはずです。こういった外的要因の変化は、自分達のお店にとって直接的な現象ですから、割と気がつきやすいものです。

しかしながら、外的要因の変化とはこの様なことだけではないのです。もっと間接的に、もっと不明確に、外的要因は変化していきます。

一見すると見逃してしまいがちな外的要因の変化・・・・・

ある意味こちらの方が怖いと思うお店もあるかも知れませんね。

次回のコラムでは、見過ごしてしまいそうな外的要因の変化についてお話します。

2004年7月23日

ホール運営研究会
メルマガ購読・解除

読者購読規約
powered by まぐまぐ!
 

Valid XHTML 1.0 Strict