外的要因(2)
多くを外的要因に支えられている様なホール営業は、自店舗の努力いかんに関わらず、ちょっとした変化で業績が左右されます。前回は、新店舗の出現だけでなく既存ライバル店の営業方針の転換によっても、簡単にその均衡状態が崩れてしまうというお話をしました。
さて、今回は一見するとわかりづらい、間接的な外的要因についてお話します。
景気の良し悪しにかかわらず、経済が成熟化していく課程で多種多様な業態を持つ企業が出現してきます。
一昔前なら「洋食屋さん」の1メニューでしかなかったオムライスも専門店が出来ますし、ここ最近では単なる「うどん屋さん」よりも「讃岐うどん」の方が人気があるようです。ラーメン屋さんだって、色んなラーメンが登場するようになります。また、一見同じ様な業態、同じ様な物を売っているお店でも、それぞれが自分達の存在価値を高めるために「個性」を重視して他店との差別化を図っています。
この様に多種多様な業態の企業や商品が増えるということは、つまり人々にとって様々なサービスや商品を利用する「選択肢」が増えるということです。
こうなると最早、
「自分のお店のライバル店は同業他社だけではなくなってきている」
ということになります。パチンコ店のライバルは、既にパチンコ店だけではないのです。
パチンコ店とはご存知の通り、生活必需品ではなく、余暇に対する時間とお金を顧客に費やしてもらうことで成立する娯楽産業です。ところが、この娯楽産業自体が多種多様化しているため、顧客からすれば自分が余暇に費やすための選択肢がたくさんあるわけです。
つまり、あなたのお店の顧客が余暇に対してあなたのお店を利用する確率は、どんどんと少なくなってきているのです。
以前から、ワールドカップ・オリンピックなどの開催によって客入りが変わることは、周知の通りです。この様な機会が、今後もどんどんと増えていく可能性があるということです。
さらに言えば、人々はもう既に様々な企業や商品を「体験」してしまっています。つまり眼が肥えてきているわけです。
こうなると顧客の感覚は、業界を超えて認識し始めるようになります。
例えば接客ひとつとってみても以前であれば、パチンコ店Aとパチンコ店Bで比べてどちらが居心地が良いかという視点でしか物を見なかったはずです。ところが現在では、パチンコ店と他の娯楽施設、果ては飲食店などとも比べるようになってきています。
「隣のパチンコ店は○○やってくれるのに、どうしてこのパチンコ店はやってくれないの?」
という範囲で捉えていたお客様の視点が
「こういう時、俺が良く行くカラオケだと○○な対応してくれるけど、このパチンコ店はしてくれないのか?」
という比較の仕方になることが、確実に増えてきています。
時代の流れが、確実にパチンコ店のライバルを増やしています。同業他社同士で、一部苛烈な出玉競争を行なっている地域もありますが、そうであってもそうでなくとも、知らぬ間に一見目に見えぬ敵のボディーブローがどんどんど効いてきているのです。
では、あなたのお店ではそれに対してどの様な対策を取っているでしょうか?
これは非常に重要なことです。
現在、多くのパチンコ店が同業他社のみをライバル店と認識する視野しか持っていません。例えばゴールデンウィークなんて、昔ながらの考え方でいく店が非常に多いように思います。
「各メーカーとも新台をこの時期に投入してくるから、この日に入替を持っていって・・・・そしてゴールデンウィークはその流れで引っ張って・・・・・ゴールデンウィークをあけると客入りが減るから、そうしたら・・・・・・」
という、自分のお店の視点でしか営業を考えません。旅行業界など他業種は、ゴールデンウィークの顧客獲得に向けて必死なのにもかかわらずです。
連休に他のレジャーにお金を使わせてしまえば、連休明けにバタッと顧客が減るのは当たり前なんです。パチンコ店も、他のレジャーまでを視野に入れて顧客獲得を目指さなければならないのです。
さらには次々と登場しているパチンコ以外のレジャー施設の出現にも目を配らなければいけません。近隣にレジャー施設が出来れば、直接的な打撃はなくとも、ボディーブローの様に徐々に徐々に売上げに影響を及ぼすようになります。
特にそのレジャー施設の規模が大きければ大きいほど、自店舗から離れているからといって安心は出来なくなるでしょう。
さて、ここまでのお話で、「既存ライバル店の営業方針の転換」と「他のレジャー産業の影響」という外的要因を指摘しました。ですが、これでもまだまだ気がつきやすい外的要因ですねー。
次回のコラムでは、さらに気がつきにくい外的要因に話を進めましょう。本来競合しないはずのレジャー産業以外の企業(スーパーや銀行など)の影響についてです。
2004年7月30日