コラム:パチンコ店経営を考えるポイント

外的要因(3)

あなたは店舗を運営していくにあたって、「動線」というものを意識しているでしょうか?

「動線」もしくは「行動線」と呼ばれるものは、その地域を移動する人々の日常的な行動経路のことです。例えば、自宅から駅までをどの様な道をたどるのかということですね。

この動線によって、あなたのお店は影響を受けます。その地域の人々がより多く利用する行動経路にあなたのお店があれば、集客は非常に有利に働きます。しかし、駅からいかに店が近くとも、この動線上にあなたのお店がない場合、集客は難しくなるわけです。

その地域を移動する人々の行動経路は、店舗運営を行なう上で非常に重要な要素のひとつになります。

そしてこの動線に大きな影響を及ぼすのが、駅やスーパー、銀行などの生活必需品や生活必需サービスを提供する施設です。

駅が移動したり新たに出来るということは滅多にありませんが、店舗や銀行などの盛退や統廃合は常に起こっています。近くにあった銀行やATMがなくなったり、今まであった店舗が違う業種になったり、新しい場所にスーパーが出来たりします。

これらは、人々の行動線に大きな影響を及ぼします。

日頃人々が利用するスーパーや銀行・駅などの途中、もしくは延長線上にあなたのお店がある場合、あなたのお店は利用しやすい環境にあるといえるでしょう。

ところが、今まで利用してきた銀行の支店がなくなったり、お客様にとって今まで利用してきたスーパーと全く逆の方向に別の新しいスーパーが出来たとしたらどうなるでしょう?

その地域を移動する人々の何割かは、行動する経路が変わり、行動範囲も変わってきます。そしてその人々にとってあなたのお店は、利用しにくい立地になってしまうのかもしれません。

生活に密着したサービスを提供する店舗の状況は、その地域の人々の生活行動経路を変えてしまうわけですね。

この様な状況は、なにも「反対側にお店ができる」というわかりやすい状況だけで起こるわけではありません。

 

参考図01

 

上記の図でいえば、Aブロック内の店舗の衰退や、BブロックもしくはCブロック内の何らかの店舗が勢いを増すと、人の流れは矢印方向に分散しやすくなります。つまり自分のお店の前を通過する人の量が減ってしまうわけですね。

この状況下で、この矢印方向に自分のお店と直接競合する店があれば、顧客はそちらに流れやすくなる傾向を持ちます。(差別化ができているならば別ですが・・・・)

この様に、一見競合しないような業種の店舗であっても、あなたのお店に影響を及ぼす可能性は充分に存在するのです。

さらにはこれら他業種の動向にも注目しなければなりません。

電気店などの量販店にしろスーパーにしろ、競合同士が競争を繰り広げるとその地域の需要は喚起されます。そして今まで以上にその地域には人が集まる結果となるわけです。

ところが電気店やスーパーなどによる需要の喚起は、パチンコ店の需要を喚起させるとは限りません。各家庭や個人の財布の中身を、生活用品の購入に当てる割合が多くなる結果となっても、パチンコに費やす金額が増えるわけではありません。逆に他業種の需要の喚起は、自分の業界に費やす金額を減らしてしまう結果になりかねません。

大前研一氏がその著書「サラリーマンIT道場」で述べている通り、「ケイタイ不況」というものがあります。

一昔前まで存在しなかったはずの携帯電話が広く普及したことにより、家計や個人の支出には新たに携帯電話の購入費・通話料・パケット代などが加わる事になります。月に一人当たり数千円、人によっては1万円以上の出費が当たり前になってしまったわけですね。一人あたりの所得が増加したわけではないのに・・・です。

ということはつまり、携帯電話が普及する以前までは何らかの商品やサービスを受けていたはずの「お金」を抑えることで、ケイタイにかかる費用を支払っているということです。これによって、他の商品やサービスが売れなくなります。

これと同じくパチンコ業界と直接関係のない業種であっても、その他のサービスや商品の需要が喚起されることで、その業界に費やす金額が増えてしまえば、当然人々がパチンコに費やす金額は少なくなるのです。

さらに問題は続きます。

実はこれ、あなたのお店周辺の地域でこのようなことが起きなくとも、充分にあなたのお店は影響を受けてしまうのです。

本来ならば商圏の重ならないはずの地域であっても、何らかの需要が喚起されている場合、人々はその地域に向かって行動する傾向が強くなります。例えば今までならば電化製品はA駅周辺で購入していたはずの人々が、隣のB駅で大型電気店同士による安売り合戦が始まれば、B駅周辺に向かって行動するようになります。

この需要を喚起する商品やサービスが生活必需品に密着していればいるほど、購入回数が頻繁な業種(スーパーなど)になればなるほど、B駅周辺まで行動することが日常的になってきます。

そしてB駅周辺やその往復の過程で、様々な素敵なお店を見つけ、その店にまで通い出すようになってしまえば、完全に彼らの「行動範囲とその行動経路」は変質します。今までA駅周辺でパチンコをすることが当たり前だった人々も、遠いB駅周辺のパチンコ店に行くことが苦痛ではなくなってしまうのです。

この様な外的要因の変化は、直接的ではなく間接的に影響を与えていくので、一見気がつきづらいものです。

しかし、確実にあなたのお店の周りの環境は数年前とは変化しているはずです。様々な環境の変化に合わせ、自店舗の営業対策を考えていくことが、この時代には必要不可欠となっているのです。

あなたのお店でも、数年前と現在とでは一体何が変わって来ているのか見直してみる必要があるかもしれません。

2004年8月6日

ホール運営研究会
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