商圏について(2)
結局のところ商圏とは、単純な物理的距離では決められません。地図上からすれば距離が近くとも、何らかの障害が生じている場合があるからですね。
この「何らかの障害」が、心理的に距離を遠く感じさせたり、実際の通行者を迂回させる原因を作り出しています。
「何らかの障害」とは、前回のコラムでお話した信号機や歩道橋の有無だけではなく、橋やビルなども当てはまりますし、また道路状況にも左右されます。
坂道は誰でも登りたくはありませんし、車の交通量に反して歩道が整備されていない道は好まれませんよね。
地域に比較的密着したパチンコ・スロット店では、地元住民の来店量が多く関わりますが、地元住民とはそもそもその土地に詳しいわけです。大きくて舗装された道路を通らずに、小さくとも近道となったりする様な利便性のある道を選んで通行するわけです。
また車での来店を考慮しなければならない店舗であれば、車の走行状況を考えなければいけないでしょう。一見来店可能な距離にあっても、車で来店するには不便な道のりかもしれません。逆に来店するには遠いように感じても、実際は日常生活の車利用において都合の良い位置に店舗が位置している事だってあるでしょう。
ですから正直なところ、単純に地図を見るだけでは商圏を設定することは出来ないのです。
商圏を考える際は、必ず自分の足で歩いて確認する、車に乗って確認するという作業が必要です。実際に現場を自分の足で確認する事によって、遠いと思っていた地域が近かったり、近いと思っていた地域が実は遠かったりするのです。
この商圏を超えた範囲に宣伝活動を行なっても、実質的なお客様はたいして増えません。仮に増えたとしても、一時的なものであると考えた方が良いでしょう。
なぜかと言えば、お客様は通常の行動範囲を超えた場所にあるお店には、わざわざ行こうと思わないからです。
仮に、その地域に行かなければ手に入らない商品、サービスであるなら別ですが、パチンコ店などは、多くの地域に存在します。自分の行動範囲内に既にパチンコ店があるのに、わざわざ違う地域にまで出向いてパチンコを打たなければならない理由はないのです。
商圏を超えてお客様を日常的に来店させるためには、何らかの理由が必要になってきます。そしてその来店理由・来店目的を生み出すためには、それ相当の差別化戦略が必要になるのです。
ところが多くのパチンコ店では、なぜかリニューアルをして広範囲に大々的に宣伝すれば、お客様は増えると錯覚しているところが多いようです。
しかしながら、それは一時的な現象でしかありません。通常営業になれば、もう来なくなってしまうお客様をたくさん集めて、一体何をしようというのでしょうか?
単純なリニューアルではなく、お店そのものの営業のあり方を変えることで差別化できる戦略がなければ、どんなに広範囲に宣伝をしたところで、お客様は増えません。
新台入れ替えなど戦術上で行なう宣伝活動は、商圏範囲内。
新たな営業戦略で望む場合に限って、商圏を超えて宣伝。
この使い分けがホール営業には必要になっています。
あなたのお店では、きちんと商圏を把握して営業をしていますか?商圏とその特質を把握した上で、宣伝活動を行なっているでしょうか?
商圏をきちんと把握することで、あなたのお店のお客様を知り、効率的な営業を実現しましょう。
2004年8月20日