戦略なきリニューアル
パチンコ・スロットホールでは定期的に・・・を超えて、度々リニューアルを行ないます。もうこれは、定番と言っても良いでしょう。
そして私は、これらリニューアルの大半が
「悪しき慣習」
であると思っています。
本来のリニューアルとは、設備自体が古くなった場合、顧客の印象も使い勝手も悪くなりますから、設備等を一新する意味で行ないます。
しかし、もうひとつリニューアルの意味合いとして、「集客手段」という事が考えられます。
リニューアルが行なわれれば、開店後お客様は当然集まります。パチンコ店にとって見れば、いや、全ての店舗営業にとってリニューアルとは、重要な集客手段としての位置付けがあるでしょう。
ところが・・・です。
多くの店舗が残念な事に、「リニューアルをすれば、お客が集まる」程度の事しか考えずに、多額の費用をかけてリニューアルを行ないます。
そこには、全く「戦略」というものがありません。集客した顧客を固定化する必要性があるにもかかわらず、その様なことには思いが及びません。
確かにリニューアルをすれば、人は集まるし、売上げもドンと上がります。
でもそれは、一時的なものにしか過ぎません。
「なんとか売上げを上げたい。」
その気持ちは充分わかるのですが、リニューアル後に顧客を定着させる確固たる戦略もなく、闇雲にリニューアルを行なうことを、私はどうかと思うのです。
中には、とりあえずリニューアルしてお客を集めたいと言う思いばかりが先走り、中途半端な資金で誤魔化すようなリニューアルも増えているように思います。
しかし、たとえ投資金額が中途半端であろうがなかろうが、確たる戦略もなしにリニューアルしても、それはドブにお金を捨てるのと一緒なのです。
集めたお客様はいずれ去ります。何ら計画性もなくリニューアルをしても、いつかは元の鞘に納まるのです。そして多くのリニューアルが、実際その様なものです。
多額の費用をかけて改装し、集客し、一時的に売上げが上がって、しばらくしたらまた改装前の状況・・・
一体、改装資金は何の意味があったのか?
成長期であった以前であれば、単純なるリニューアルによって、充分に顧客は増えた事でしょう。
しかし現在では、単にリニューアルして集客しても、顧客減少に至るまでのスピードが加速しています。「果たして改装資金だけでも回収できるのだろうか?」と、不安になってしまうリニューアルも多数存在します。
パチンコ業界はつくづく不思議な業界です。
通常、経営コンサルタントというものは、
「改装しましょう。設備投資しましょう。新しいシステムを導入しましょう。そうすれば、売上げは・・・」
と、気の進まぬ経営者を煽りたて、結果コンサルタント自身の収入に結び付けるのが世の常です。
ところが、パチンコ業界では私の様な人間が
「改装はやめてください。今はその時期じゃありません。もう少し計画と資金を練ってから・・・」
と、さんざん助言しても、経営者は結局リニューアルをやってしまいます。
リニューアルは集客のための「手段」であるはずなのに、まるでリニューアルをする事自体が「目的」に摩り替わってしまっているようです。
戦略なきリニューアル
これは悪しき習慣です。リニューアルは集客の一手段でしかなく、本来は改装後にその営業手法が問われるような計画を持たなければなりません。
戦略がなければそれまでリニューアルを控える。
これも立派な経営戦略の一つだと、アナタは思いませんか?
2004年9月24日