コラム:パチンコ店経営を考えるポイント

ムカデ競争(1)

ムカデ競争や二人三脚を覚えていますか?運動会でよくやるあの団体競争です。

もし仮に、このムカデ競争に参加する人それぞれが、自分がムカデ競争に参加していることを知らないとしたら、どうなるでしょうか?

これが何の競争であるか、どこに向かって行けばよいのかを知らなければ、みんなそれぞれ好き勝手な方向に足を差し出し、上手く前に進めません。それどころか、転んでしまいますね。きちんとこれがムカデ競争であるということを皆が把握して、向かうべきゴールを知っているから、

「それでは右足から。せーの、イチ、ニィ、イチ、ニィ!」

とのリーダーの掛け声で、一斉に前に進むことが出来るのです。

思考停止型発想と思考稼動型発想もこれと同じです。

前回のコラムでは、思考停止型での具体論は、思考稼動型の発想が出す答えの一要素でしかない、と言うことをお話しました。

つまり思考停止型発想は、全体を考えずに目の前にある事態の対処や具体策だけを考えます。それに対して、思考稼動型発想は、まず全体を考え、それを基に具体策を考える作業です。

もうお気づきの方も多いかと思いますが、このことは要するに

思考稼動型発想=戦略を基に具体的な戦術を考える作業
思考停止型発想=戦略を考えずに具体的な戦術のみを考える作業

という事です。

簡単に言ってしまえば、戦略とは敵に勝つための大局的な方針や計画であり、戦術とは大局的な方針や計画に基づいた具体的な方法のことです。

本来戦争用語であったこの「戦略(strategy)」と「戦術(tactics)」は現代の経営においても用いられ、「戦略なき戦術に成功はない」という事実を長い歴史の中で実証してきました。戦略なき戦術は空転し、それぞれの戦術が相殺し合うなどムダや非効率性を生み出します。

それと同じく、ホール運営も思考稼動型発想(戦略)をせずに思考停止型(戦術論)ばかりに終始していると、場当たり的な営業戦術しか出来なくなります。そしてそれは多くのムダを生み出し、仮に成功したとしてもその効果は半減してしまうのです。

具体的な例を挙げてお話しましょう。以前パチンコ店で流行った営業に「ペアシート」というものがあります。一時は次々とこのペアシートを導入する店舗が増えていましたが、現在では導入したほとんどの店舗がこれを取りやめています。

なぜでしょうか?

いや、もう既に結果が出てしまっているので、ペアシートが失敗に終わった理由をほとんどの方がお分かりだと思います。

そうではなく私が問題にしているのは、なぜほとんどが失敗してしまうようなペアシートを、当時次々と導入する店舗があったのだろうかということです。

話が長くなりそうなので、詳細は次回のコラムに譲りますが、ここでは結論だけ先に述べさせてもらいます。

実はこのペアシートという営業方法は典型的な思考停止型発想から構成されていました。ですから思考稼動型発想の出来ている人たちは、実は当初からこの営業方法が失敗すると言う判断をしていましたし、仮に導入に踏み切っていたとしたら、もっと別な形を提案し実行していたはずなのです。

(次回のコラムに続く)

2004年3月27日

ホール運営研究会
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